2001年に公開し、興行収入300億円超えを記録したジブリ映画『千と千尋の神隠し』。
誰もが一度は目にしたことのある名作ですが、実は本編のラストシーンの後に「幻のエンディング」があると言われています。
多くの人が記憶にあると言われている幻のエンディング。
今回は通常のエンディングとの比較や実際に存在するのかどうかを検証してみたいと思います。
千と千尋の神隠しには幻のエンディングが存在する?
2001年7月20日に公開された『千と千尋の神隠し』。
今でも2年に一度ほどのペースでテレビ放送され、毎回20%近くの視聴率を叩き出している人気作品です。
そんな『千と千尋の神隠し』には「幻のエンディングが存在する」という都市伝説が存在します。
2014年頃からネット上で噂され始め、テレビ放送されるたびに大きな話題となって拡散されている情報でもあります。
ここでは「幻のエンディング」について、通常シーンとの比較や噂されている情報を紹介させていただきます。
通常のエンディング
まずは通常のエンディングを紹介させていただきます。
自分の名前を取り戻した千尋は、ハクと別れてトンネルを抜けようと足を進めます。
ハクが口にしていた「決して振り向いてはいけない」という教えを守り歩みを進めますが、途中で振り向きそうになってしまいます。
ですが髪留めがキラリと光ったことで踏みとどまり、トンネルを無事にわたりきることができました。
乗ってきた車は長い時間が経過したかのように埃まみれに。
両親と合流した千尋は、抜けてきたトンネルを無言で見つめ続けます。
両親に呼ばれた千尋は家族と一緒に車に乗り、新しい生活へと出発していきました。
これが私たちの知っているエンディングですね。
ですが、ネットではこのエンディングの後に続きがあったと言われています。
本当のエンディング?
続いて、都市伝説になっている「幻のエンディング」と言われているシーンを紹介していきます。
様々な場所で語られている幻のエンディングはこんな感じです。
- 千尋が車に乗り込むと、髪留めが銭婆からもらった髪留めに変わったことに気づく。
千尋はなぜだか覚えていないため、不思議に思う。 - 新居に向かう途中で丘から引っ越し業者が到着しているのが見える。
千尋の母が「もう業者さん来ちゃってるじゃないの〜」と父親に怒る。 - 新居に到着後、引っ越し業者の1人から「遅れられると困りますよ〜」と注意される。
- 千尋が1人で新居の周りを歩いていると、短い橋の架かった緑ある小川があることに気付く。
- 橋から川を眺めていると、千尋は一瞬ハッと悟ったかのような表情。
この川がハクの生まれ変わりであることに気付いた?かのような余韻を残して物語が終わる。
さらに、ハクが八つ裂きになったことにも言及したシーンがあるなんて噂もあります。
なんだか見たことがあるような、ないような…
私自身、小学生の頃に映画館に見に行って絵本も買っていますが、正直このラストは正直記憶にはありません!
ただ、髪留めのくだりは記憶の隅にあるような気がします。
1週間限定・一部の映画館で上映された?
ネット上に幻のエンディングが拡散されると「見たことある!」という声が多く上がりました。
しかし、テレビ上映される際などはいずれも通常のエンディングで終了しています。
幻のエンディングについては、
1週間限定で一部劇場でのみ公開されていた
とも言われています。
まあ普通に考えたら、上映劇場ごとに内容が違うなんてことはありえないかと思います。
ジブリ美術館で限定公開とかの方がまだ信じられますね。
ネットユーザーの記憶は
千と千尋の神隠し 幻のエンディング?? 私も見たことある…なぜ?
— よる (@_yor_u) August 16, 2019
今日は千と千尋の神隠しだけどぼくの覚えてるラストは
トンネルを抜けて引っ越し先に行くと業者さんが先についてて、「遅いですよー」って言われて、その後チヒロが散歩に行くんだけどとある川で立ち止まって、この川はハクだったんだ…
みたいな終わり方なんだけど誰もこれ知らないのよ。なんで?
— たたみ(ん) (@tatami33) August 16, 2019
千と千尋の神隠しさ、エンディングに引越し業者が「困りますよ〜」みたいな事言ってて、千尋が川見てるシーンみたいなのなかった? 鮮明に覚えてるから気のせいとも違う気がして
— 古都子 (@KnockYourHeart) August 16, 2019
今日は千と千尋の神隠しか〜
ノーカットって言ってるけど、都市伝説と言われるラストシーンどうかのかな?めっちゃちっちゃい頃にすごいぼんやり見た記憶あるんだよね、ググると一致するんだよね— 💜ちゃそ🖤@ゲーム垢 (@dfy1023) August 16, 2019
千と千尋の神隠しの劇場だけで流れたっていう都市伝説のシーン、劇場行ったけどひとつも見た記憶がない
— ひたき💩 (@hitaki89) August 16, 2019
ネットを見てみると、幻のエンディングが自分の記憶の中にあるシーンと一致するという声がかなり多く上がっていました。
まさか…本当に上映されていたのでしょうか?
幻のエンディングはただの都市伝説?
『千と千尋の神隠し』の幻のエンディングについて調べてみると、
- 見た記憶がある
- 勘違いでしょ
この2つの意見で真っ二つとなっていました。
ここでは幻のエンディングについて実際に存在するのかどうかを検証をしていきたいと思います。
2ちゃんねる発祥のデマ?
幻のエンディングの噂の出所は、どうやら2ちゃんねるの書き込みだったようです。
2014年11月21日に、2ちゃんねるの「ニュース速報(VIP)板」に立てられたスレッドがこちら。
当時の書き込みではほとんど同意されずにあしらわれていました。
しかしながら、書き込みされた日が『千と千尋の神隠し』のテレビ放送当日だったことから、Twitterなどで一気にこの情報が拡散されることに。
その後に「1週間限定公開されていた」という情報も後付けされ、テレビ放送がされるたびに話題が取り上げられるようになりました。
似てるシーンからくる記憶違い?
『千と千尋の神隠し』が公開されたのは、2001年。
劇場へ見に行った方の記憶も、20年近く前のものとなります。
そのため、記憶違いが起きている可能性も高いです。
幻のエンディングについては、本編中に酷似したシーンが複数存在しています。
本編では、
- 最後に一家がトンネルを抜ける際に千尋の母親が「引越しのトラック、もう着いちゃってるわよ」と発言
- ハクが琥珀川の生まれ変わりと告げた時に川の描写があり、千尋がハッとした表情をする
などとといったシーンがあります。
こうした作品内での断片的な記憶が記憶されていたため、幻のエンディングを聞いた時に「見たことある!」という気持ちになったんだと考えられます。
しかし、テレビ放送はDVDでは通常のエンディングが放送されるため、幻のエンディングを見ることはできません。
画像や動画も一切出回っていないため、自分の頭の中で幻のエンディングを思い浮かべるしかありません。
テレビ放送だったりネットで情報に何度も触れる度に脚色した記憶を呼び起こすため「実際に見た」と脳が勘違いをしている可能性が高いでしょう。
1週間限定公開説は東宝が否定
実際に上映されたかどうかは、配給会社に聞くのが一番早いでしょう。
『千と千尋の神隠し』の配給を担当したのは東宝です。
東宝の担当者は、劇場公開で一部で別バージョンの内容が限定公開されたかいう質問には
「そのような別バージョンの興行があったという話は聞いたことがない」
と、完全否定していました。
1週間限定で一部で劇場公開されたという説はこれで完全になくなりました。
ジブリは幻のエンディングに言及せず
配給会社が否定したとしたら、ジブリはどうでしょうか。
ジブリは過去に『となりのトトロ』の都市伝説について否定したこともありますが、今回はどうでしょう?
幻のエンディングについてのジブリ側の回答は…
「ファンの解釈にかかわってくるものもあるため、基本的に内容について発表することはしていない」
とのことでした。
客観的に見ると、幻のエンディングはやっぱり記憶違いだったのかなと感じてしまいますが、ジブリは受け取り側の余白を残してくれたようです。
また、個人的には幻のエンディングがつくと「説明しすぎ感」が出るような気もします。
ジブリ作品はこうした説明は少ないことが多く「ある程度は観た人の感情に委ねる」というスタンスが強いと感じます。
幻のエンディングがないからこそ色々な解釈ができる、これぞジブリのセンスだと思います。
ただ、明確な否定はしていませんので、信じるか信じないかはこちらの自由、と言えますね。
千と千尋の神隠しの幻のエンディングまとめ
『千と千尋の神隠し』の幻のエンディングについての情報をお届けしました。
ネットでは通常のエンディングに加えて、ある描写があったことが話題になっていました。
「同じシーンを見たことがある」という声も多数上がっており、信憑性がある情報かと思われましたが、東宝によると一部で違うバージョンを上映したという事実はないそうです。
上映が20年近くも前ということで、それぞれ酷似したシーンなどが頭の中で混ざって、存在しない幻を作り上げてしまったのかもしれません。
ただ、ジブリ側は完全に否定したわけではありませんので、もしかしたら…幻のエンディングは存在しているのかもしれません^^