2019年頃から『お笑い第7世代』という言葉をよく耳にするようになりました。
霜降り明星やEXIT、四千頭身などのメンバーが代表として取り上げられていますが、その定義はあまり知られていません。
若手がワイワイやっているイメージが強く、周囲の芸人たちがどう思っているのかも気になるところです。
そこで今回は、お笑い第7世代について、その言葉が使われるようになった発端や定義、メンバーとして名前があがっている芸人一覧や周囲の芸人の反応をまとめてお届けしていきます!
お笑い第7世代とは?
『お笑い第7世代』は、2019年頃から提唱された言葉です。
明確な定義は存在しませんが、Wikipediaでは
- 1987年以降に生まれたデジタルネイティブであるゆとり世代の芸人
- 平成生まれで2020年(令和2年)現在20代から30代前半の芸人
が該当するとされており、主に2010年以降にデビューした若手お笑い芸人を指す俗称として使用されています。
2019年3月30日放送の『ENGEIグランドスラム』でお笑い第七世代のくくりで数組の芸人が紹介された際には、第7世代は平成生まれとして括られていました。
お笑い第7世代の特徴としては、ゆとり世代ならではの価値観があげられます。
厳しい上下関係を持つこともなく、テレビに拘らずにネットのメディアにも積極的に参加する。
ゆとり世代として育った環境が影響して、芸人という厳しい世界でも自由さを持って活動ができていると言えますね。
また、第7世代の芸人は
- 霜降り明星(M-1グランプリ2018優勝)
- ハナコ(キングオブコント2018王者)
- ゆりやんレトリィバァ(女芸人No. 1決定戦 THE W初代王者)
など、賞レースで優秀な成績を残している方が多いという特徴もあります。
お笑い第7世代の発案者はせいや!
「お笑い第7世代」という言葉の発端
『お笑い第7世代』という言葉の発案者は、霜降り明星のせいやさんです。
発端は、2018年12月22日放送のラジオ番組『霜降り明星のだましうち!』での発言。
- 次の年号の世代で『第七世代』みたいな名前をつけて20代で固まって活動していきたい
- 「ポケモン」とか僕らの世代だけで分かる話ができたら面白い
- 同世代で新しいものを作っていきたい
せいやさんは、新しい時代の始まりに備えて同世代の繋がりを強固にすることを提案しました。
「七」という数字の根拠については特に意味がなく、後にせいやさんが好きな漫画から撮ったものだったと語っています。
たまたま俺が、『NARUTO-ナルト-』に登場するキャラクター“7代目・火影”が好きだったとか、7っていう数字が気持ち良かったから。響きが。
だから、第7世代って言って。そうしたら、お笑い第7世代ってなっていた。
気が付いたら。僕はまず、お笑いで区切ってないです。
(2020年2月28日放送霜降り明星のオールナイトニッポン0より)
当初は芸人に限った話では無く、同世代のYouTuberやミュージシャン等とともにジャンルを超えて集まることの提言でした。
「お笑い第7世代」ブレイクの弊害
霜降り明星のM-1優勝直後の発言、またキャッチーで使いやすい言葉ということもあり、雑誌やネットやテレビで『お笑い第7世代』というワードが多く使われるようになりました。
しかし、言葉が広まっていくうちに、せいやさんが当初発言していた趣旨からずれて「最近の若手芸人の総称」を指す言葉へと変わっていったのです。
第7世代としてブレイクする芸人が増えていくと、上の世代の芸人からも賛否の声が上がっていき、だんだんと「若手が調子に乗っている」といった風潮が広がっていきました。
その影響か、せいやさんは2019年12月30日のオールナイトニッポンでこんなことを語っていました。
第7世代がビジネスになっている。
第7世代のうまみみたいなのは周りが持って行って、”えぐみ”みたいなのを俺だけ飲んでんねん!
『こいつが言ってる~』みたいな。
(2019年12月27日放送霜降り明星のオールナイトニッポン0より)
せいやさんの元には批判的な声ばかりが集まるようになっていったようです。
せいやさんの第7世代に関する発言は、後半にまとめて紹介させていただきます。
お笑い第7世代メンバーを一覧で紹介
ここでは、テレビや雑誌、大手WEBメディア等で『お笑い第7世代』として名前があがっている芸人さんをまとめて紹介させていただきます。
実際に名を連ねているメンバーは以下の通りです。
霜降り明星
- メンバー:せいや(ボケ)粗品(ツッコミ)
- 所属事務所:吉本興業
- 活動時期:2013年
ハナコ
- メンバー:菊田竜大(中ボケ)秋山寛貴(ツッコミor大ボケ)岡部大(大ボケorツッコミ)
- 所属事務所:ワタナベエンターテインメント
- 活動時期:2014年
EXIT
- メンバー:りんたろー。(ツッコミ)兼近大樹(ボケ)
- 所属事務所:吉本興業
- 活動時期:2018年
宮下草薙
- メンバー:草薙航基(ボケ)宮下兼史鷹(ツッコミ)
- 所属事務所:太田プロダクション
- 活動時期:2016年
四千頭身
- メンバー:都築拓紀(ボケ)後藤拓実(ツッコミ)石橋遼大(石橋)
- 所属事務所:ワタナベエンターテインメント
- 活動時期:2016年
ミキ
- メンバー:亜生(ボケ)昴生(ツッコミ)
- 所属事務所:吉本興業
- 活動時期:2012年
かが屋
- メンバー:加賀翔(ボケ&ツッコミ)賀屋壮也(ボケ&ツッコミ)
- 所属事務所:マセキ芸能社
- 活動時期:2015年
納言
- メンバー:安部紀克(ツッコミ)薄幸(ボケ)
- 所属事務所:太田プロダクション
- 活動時期:2017年
ティモンディ
- メンバー:前田裕太(ツッコミ)高岸宏行(ボケ)
- 所属事務所:グレープカンパニー
- 活動時期:2015年
コロコロチキチキペッパーズ
- メンバー:ナダル(ボケorツッコミ)西野 創人(ツッコミorボケ)
- 所属事務所:吉本興業
- 活動時期:2012年
空気階段
- メンバー:鈴木もぐら(ボケ&ツッコミ)水川かたまり(ボケ&ツッコミ)
- 所属事務所:吉本興業
- 活動時期:2012年
金属バット
- メンバー:小林圭輔(ボケ)友保隼平(ツッコミ)
- 所属事務所:吉本興業
- 活動時期:2006年
カミナリ
- メンバー:竹内まなぶ(ボケ)石田たくみ(ツッコミ)
- 所属事務所:グレープカンパニー
- 活動時期:2011年
3時のヒロイン
- メンバー:ゆめっち(ボケ)福田 麻貴(ツッコミ)かなで(ボケ)
- 所属事務所:吉本興業
- 活動時期:2017年
ゆりやんレトリィバァ
- 所属事務所:吉本興業
- 活動時期:2013年
フワちゃん
- 所属事務所:なし(フリー)
- 活動時期:2018年
お笑い第7世代への周囲の反応は
『お笑い第7世代』という言葉が広まってから、お笑い芸人を「第○世代」と世代で区切る風潮が強まりました。
テレビや雑誌等のメディアにも大きく取り上げられて盛り上がりを見せていますが、この現象について他の芸人がどう思っているのかが気になります。
『お笑い第7世代』の存在に言及している芸人のコメントをまとめてみました。
有吉弘行
有吉弘行さんは、2019年5月19日放送のラジオ『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』でお笑い第7世代へ厳しいコメントを口にしています。
無茶苦茶な括りしやがって。流行らそうと急に言いだして何なんだよ。
ノンキーズの山崎さんとくりぃむしちゅーの有田さんが一緒なわけねぇだろ、バカ野郎。
俺も第七世代に入りたいよ(笑)
『ノンキーズ』は90年代に活躍した太田プロ所属のコンビ芸人で、有吉弘行さんの先輩に当たりますが、今はあまりテレビでは見かけません。
同じ世代で売れた芸人と売れない芸人が存在していることから、世代で括ることに疑問を感じているということですね。
また、2019年8月2日放送の『有吉ジャポン』では、せいやさんと対峙。
その時にはこんなやり取りがありました。
どんどん若いやつが入ってくるのは(お笑い界が)活性化して良い。
せいやはちょっと問題だけどね(笑)
俺ら(上の世代)は歓迎しているのに、俺らを排除しようとする
若手芸人の台頭を喜ぶ一方、で第7世代提唱者には毒を吐いていました。
さらに、2020年1月5日放送のラジオでは、第7世代のWikipediaで『有吉弘行はこのくくりに違和感を表明している』と書かれていることに触れています。
第3と4のあいだが、さまぁ~ずや爆笑問題で3.5とか。
そんなのがある時点でくくりが甘いんだよ、ハッキリ言ってね。
ブレイク後を世代としてくくるなら、僕も第6世代ぐらいかなって思いますけどね、(個人のブレイクが)ここ7~8年だから。
猿岩石は別で、出てきたのは5.8ぐらいじゃない?
(世代でくくろうとする風潮は)バカらしい。
これまでの発言を振り返っても、有吉さんは芸人の世代分けにはあまり良い印象は抱いていないようです。
まなぶ(カミナリ)
『お笑い第7世代』に名前が上がっているカミナリのまなぶさんも、このブームにコメントをされています。
『お笑い第7世代』とかで括られるのは、霜降りがリーダーになっちゃうから嫌ですけど(苦笑)
テレビに出ているのが、僕らの世代に集まっているのは嬉しいです。
陣内智則
ひな壇で第7世代と共演することも多い陣内智則さんは、2020年2月のインタビューでこんなコメントをされていました。
今の子たちって『戦友』というか、助け合うし仲がいい。
『絶対アイツらでは笑わへん』とかバチバチやってた、芸歴25年を超える僕らの世代とは全然違うんです。
目指すところも、僕らはいかにテレビに出るかとか、冠番組を持ちたいとかずっと思ってきたけど、“6.5”世代は『M-1』に憧れてる子が多いから漫才がうまいし、“第7”は『みんなで楽しくやろう』っていう感覚で、たぶん冠番組が欲しいなんて思ってない。いい意味でギラギラしてないんですよね。
四千頭身なんかすごく肩の力が抜けていて、それが僕らには絶対にできなかったこと。
別にそこまでお笑いっ子じゃなかったっていうのも僕らには新鮮だし。
違う世代が共存することで、バラエティ界にこれまでになかった『仲間感』が生まれてきているから、制作側も起用したくなるんだと思います。
ハナコの岡部大さん(ワタナベエンターテインメント)とは、事務所や年齢の垣根を超えて仲が良いという陣内さん。
若手との接点も多いこともあり、第7世代には寛容的のようです。
お笑い第7世代ブームに霜降り明星の心境は
『お笑い第7世代』は、せいやさんが当初発言していた趣旨からずれて「最近の若手芸人の総称」を指す言葉として使われるようになりました。
この若手芸人の扱いを面白く思っていない上の世代の芸人も多いようで、2020年2月27日にはアメトーークでは「僕らビミョーな6.5世代」という企画も実施されています。
この頃は、芸人だけでなくネット上でも否定的な声もチラホラ上がり始めていました。
発案者として祭り上げられた霜降り明星のお二人は、ラジオ等でこの現象になんども言及しています。
ここでは、第7世代ブームに対しての霜降り明星のお二人のコメントを紹介させていただきます。
2019年12月27日「俺になんの得もない」
まずは、2019年12月27日放送の『霜降り明星のオールナイトニッポン0(ZERO)』。
せいやさんは、M-1グランプリ2019で優勝したミルクボーイが6年先輩ということで第7世代の終焉に触れました。
せいや:だからもう、第7世代とか終わりですよ。
粗品:ミルクボーイさん、第7世代入れてもらえるんですか?
せいや:いや、第7世代終わりました。ミルクボーイさんが獲ったことで。
終了!崩壊、終了。元の世界に戻ります。
第7世代の”うまみ”みたいなのは周りが持って行って、”えぐみ”みたいなのは俺だけ飲んでんねん。
“お笑い第7世代”って言ってないからな。”お笑い”は言ってない。
誰でもいいから”第7世代”って言っただけ。(勝手に”お笑い”を)付けた人がいますよ。真犯人や。
第7世代崩壊宣言。終了!今までありがとうございました!
粗品:あ、崩壊した。終わった(笑)
せいや:来年はみんなで頑張りましょう。俺になんの得もない。正直。
2020年2月28日
続いては、2020年2月28日放送の『霜降り明星のオールナイトニッポン0(ZERO)』。
前日にアメトーークで「僕らビミョーな6.5世代」が放送されたことを請けて、第7世代ブームに言及しました。
せいや:マジで、『第7世代』って自分で言っている芸人はいないんですよ。
粗品:ああ~実はね。
せいや:本当に、周りから言われているだけ。僕は特に、言い出しっぺって言われてるでしょ?
粗品:なってますよ。
せいや:これは再三、言ってますけど、大事なことだからもう一回言います。
僕は、お笑い第7世代とは一言も言ってないです。
第7世代みたいなのがあって、僕らみたいにM-1を取って、キングオブコントを取った人が20代だと。
だから、アスリートやユーチューバーとか、いろんな20代の人と、ポケモンとか、僕らだけでわかる話ができたら面白いなっていうのが、きっかけね。
粗品:はい。
せいや:お笑い第7世代とは一回も言ってない。
お笑いで区切りだしたら、めちゃくちゃになるって、俺はその時にわかっているわけですよ。
ドリフとかクレージーキャッツとか、俺は好きだからわかる。
粗品:それは、いわゆる第1世代ですか?
せいや:やめろ、それ!
粗品:ははははは(笑)
せいや:これはでも、本当に怒っている人に誤解を解きたい。
粗品:確かに、色んな意見を見ましたよ。『せいやって奴が言い出して、6.5世代が可哀そう』みたいな。
せいや:違うねん! 俺は『お笑い第7世代』とは一言も言ってない。
『第7世代』とは言ったけど、それは第1から数えて、ちゃんと計算した第7ではない。
粗品:はいはい。
せいや:たまたま俺が、『NARUTO-ナルト-』に登場するキャラクター“7代目・火影”が好きだったとか、7っていう数字が気持ち良かったから。響きが。
だから、第7世代って言って。そうしたら、お笑い第7世代ってなっていた。
気が付いたら。僕はまず、お笑いで区切ってないです。
粗品:いやでも、なんか……。
せいや:マジマジマジ! これは、本当に危ないところよ。
今日で(この話題は)終わろうとしているから。
粗品:ははははは(笑)
前回同様、自身の発言がブームになっている『お笑い第7世代』とは異なっていることを指摘。
さらに詳しく命名の由来にも触れました。
この後は、同期たちも「第7世代ブーム」をあまりよく思っていないことを明かしました。
せいや:テレビや雑誌がお笑い第7世代を盛り上げるあまり、これ危険よ。
よく言われる、『第7世代のブームが終わったら、終わるんじゃないか』と。
粗品:確かにね。
せいや:俺ら、第7世代のブームなんか思ってないですよね。
宮下草薙、四千頭身とかみんな。第7が嫌やって言ってる、みんな。
粗品:まあな。
せいや:だから、どこかで“第7世代・被害者の会”みたいな企画をやらないといけない。
反旗を翻そう! 6.5世代の人より、第7世代と言われている方が被害者なんだから! マジで!
粗品:6.5世代が『第7世代のせいで』みたいな風潮は、確かにちょっとズルいかなと僕も思う。
せいや:まあまあ、そこまでは言ってないけど。
粗品:え!?違うの?(笑)。穏便に穏便に?
せいや:俺は言い出しっぺをやめたいだけ。
粗品:なんやねん!(笑)
何気に粗品さんがブームに乗っかる6.5世代の芸人さんをディスっているのが”らしい”です。
芸で勝負したいのに単なる世代ブームにされたら、それはブームそのものも憎くなりますよね。
この後もトークは続き、せいやさんは第7世代の”アンチ”と化しており、ブームを終了させたい切実な思いを語りました。
せいや:もうね、世代とか関係ないんですよ。(俺が)一番アンチ第7世代かもしれない、逆に。
粗品:ははははは(笑)。お前が? 深いな~。
せいや:色んな、ゴチャゴチャに巻き込まれているから。
先輩から、『なんで言い出したんや』みたいな。
俺が一番憎んでいるかもしれない。第7世代を。
粗品:なるほど、『なんで、こんなのを生んでしまったんだ』と?
せいや:そう! だから、第7世代を早く潰さないといけないし、早く抜け出す為に頑張らないといけない。
粗品:それは熱いですね、熱い熱い。
何の気なしに発言した言葉がここまで広がってしまい(しかも違う意味に変わって)、ブームをやっかまれて、同期たちからもブームを嫌がられ…
ここまでくるとちょっと可哀想になってきますね。
仕事には繋がったものの、望んだ形でのブレイクではなかったのかもしれません。
せいや:でも第7世代の仕事を断るというのは、また違うけどね。
それは拗ねているだけみたいになるから。
粗品:僕らはM-1を優勝しての1年間だったけど、第7世代で一括りにされて、(TVに)よく出ている印象を持たれるのは、ちょっと悔しいと思う。
せいや:“第7世代はこうや”と括られだしてから、おかしくなったな…
粗品:正直言うと、第7世代の皆が思ってますけど、先輩と仕事したいしな。
せいや:そうやねん!
最後は、世代も関係なく先輩たちと共演していきたいという共通の思いで締めくくりました。
第7世代のブームが終焉しても生き残ること、世代も関係なく扱われることが発案者のせいやさんや第7世代芸人全員の願いなのかもしれませんね。