2019年4月30日に天皇陛下が退位され、5月1日に皇太子さまが新天皇に即位されました。
退位や即位の儀式の様子はテレビでも伝えられ、大きな注目が集まりました。
その中で、皇族の方々の衣装が気になった方も多いかと思います。
今回は天皇退位、そして即位の儀での衣装にスポットを当ててみましょう。
衣装が和装じゃない理由や、同じ洋装でも退位と即位の時で衣装が違う理由を調べてみました。
天皇退位と即位の衣装まとめ
まずは、天皇退位の儀式と退位の儀式での皇族の方々の衣装を見てみたいと思います。
それぞれの華やかな衣装をご覧ください。
天皇退位の儀の衣装
退位の儀式での衣装から紹介していきます。
まずは天皇・皇后両陛下と皇太子さま(現天皇)と雅子さまを見てみましょう。
天皇陛下や皇太子さまはモーニングコート、タイはグレーを着用しています。
美智子さまはグレーのロングドレス、雅子さまもロングドレスに帽子を着用していますね。
続いては秋篠宮家と高円宮家、常陸宮家です。
秋篠宮さまはモーニングコート、女性の皆さまはロングドレスに帽子です。
三笠宮家の皆さまも、ロングドレスに帽子です。
女性皇族の皆さまはロングドレスが色違いでとても華やかですね〜!
それぞれのドレスのカラーは以下の通りです。
- 紀子さま…セラドン〜淡いエメラルドグリーン
- 眞子さま…ラベンダーアイス
- 佳子さま…ロイヤルブルー
- 常陸宮華子さま…ビリヤードグリーン
- 久子さま…ダークブルー
- 承子さま…ボルドー
- 信子さま…セージグリーン
- 彬子さま…ダッググリーン
- 瑶子さま…ウォーターグリーン
天皇即位の儀の衣装
続いては、即位の儀の衣装を見てみましょう。
まずは新天皇・皇后両陛下から。
天皇陛下は燕尾服、ホワイトタイを着用しています。
皇后さまは白のロングドレスです。
続いては、秋篠宮家と高円宮家です。
秋篠宮さまはやはり燕尾服、女性陣は白のロングドレスです。
色はオフホワイトですね。
続いては常陸宮さま、華子さま、百合子さまです。
常陸宮さまは燕尾服、華子さまはロングドレス、三笠宮百合子さまはくすんだグリーンのドレスです。
続いては三笠宮家です。
お三方もオフホワイトのドレスですね。
男性は燕尾服、女性は白のロングドレスにティアラと統一されていますね
退位がモーニングコート、即位が燕尾服の理由
天皇の退位と即位の衣装は、少しずつ違いがあることが分かりました。
- 退位…男性はモーニングコートで女性はカラードレスと帽子。
- 即位…男性は燕尾服で女性はホワイトドレスとティアラ。
比べてみると、退位の方が正礼装といった印象ですね。
一般的にも、燕尾服は正礼装でモーニングは準礼装という格付けです。
なぜ退位と即位で衣装に差があるのでしょうか?
調べてみると、退位と即位の式典の主催事務局の議事録に服装に関する記述がありました。
そこでの退位と即位それぞれの服装の記述の違いを確認してみましょう。
まずは退位の儀式における服装について。
御服装は、親任式にも用いられるような格式の高さと、燕尾服と異なり勲章等を着用せずにお召しになられるといった簡素さを併せ持つモーニングコート等が適当であるという趣旨の発言があった。
燕尾服をお召しになり、勲章等を着用 になることは、天皇皇后両陛下の御負担になると思われるので、山本長官の意見のとおりモーニングコート等で良いという趣旨の発言があった。
(引用:天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に伴う式典委員会(第3回)議事概要)
続いては、即位の儀式の服装について。
今回の「剣璽等承継の儀」と「即位後 朝見の儀」は、御即位された新しい天皇陛下にとっての最初の晴れの舞台となるものであり、両儀式では、両陛下や皇族方には燕尾服等をお召しいただき、華やいだ雰囲気で行われることがふさわしい という趣旨の発言があった。
(引用:天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に伴う式典委員会(第3回)議事概要)
それぞれ服装についての指定も違いますね。
退位については、天皇皇后両陛下の負担を軽減させることをメインとして考えています。
即位については、新しい天皇陛下の晴れの舞台として華やかな雰囲気にすることをメインとして考えています。
なぜ衣装が和装じゃないドレスや燕尾服なの?
天皇退位と即位の儀式の衣装について、ネットでは「なぜ和装(着物)じゃないの?」という声が上がっています。
日本の伝統ある衣服といえば着物、和装ですが、皇族の方々は和装よりも洋装のイメージが強いですよね。
ご結婚やお子様方の着袴の儀での平安装束、園遊会以外で着物以外で和装の姿を見ることがない気がします。
ここでは、皇族の行事の衣装が洋装の理由を探ってみたいと思います。
皇室のルーツ
皇室のルーツは、公家の代表です。
朝廷や公家の人々は和服を着ていましたが、この頃の和装とは平安装束となります。
平安装束とは、着物のように気軽に着られるものではなく、十二単のような着用も大変なもの。
支度やお手入れも大変で、洋装に比べると経費も格段に高くなります。
単純に着用が大変でお金もかかるということですね。
また、装束に身を包んでいる時には挨拶や会釈や会話や手を振ることなどを行ってはいけないという決まりもあります。
両陛下が大切にしている皇室のあり方
前両陛下が大切にしていた皇室のあり方には、こんなものがありました。
- 親しみやすい皇室
- 国家財政の負担軽減
- 国家の代表としての品位
平安装束に身を包む時というのは、お金もかかる、会釈や手を振ることもできません。
ご高齢になると、装束に身を包むだけでも体力を使いますね。
つまり、親しみやすい皇室とはかけ離れた衣装という訳です。
金銭的な負担の軽減や親しみやすさをもつために、洋装を選ばれていると考えられます。
洋装は明治維新の影響も
皇族の方々が和装を着ない理由には、明治維新の影響もあると考えられます。
先ほどは、皇室のルーツから皇族の和装=平安装束であることが分かりましたね。
では、皇室でいつ頃から洋装が始まったのかを見てみましょう。
皇室で洋装の着用が始まったのは…明治維新の頃でした。
明治維新の影響で日本に「洋装令」が出て、国内に西洋の文化が一気に入ってきました。
西洋化の波は皇室にも影響し、それからというものの、皇室の儀式でもドレスが着用されるようになりました。
明治維新は一般人だけでなく、皇族の衣装にも影響していたのですね〜!
まとめ
天皇の退位と即位の衣装について、それぞれの衣装の違いや和装じゃない理由を紹介させていただきました。
和装でない理由は、現代の天皇のあり方や明治維新の影響があると考えられます。
天皇退位と即位の儀式で衣装が違ったのは、
- 退位は前天皇皇后両陛下へのご負担を軽減させるため
- 即位は天皇陛下の晴れの舞台として華やかさを重視するため
といった配慮があることが分かりました。
衣装一つでもここまで様々な意味が込められている皇族の世界。
今後もの衣装に注目していきたいですね。